
Release date: Jan 24, 2007
Label: POKAPOKA RECORDS
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RAILROAD EARTH
/THE BLACK BEAR SESSIONS |
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OFFICIAL SITE:http://www.railroadearth.com/
The String Cheese Incident
や2004年にFuji Rock Festで初来日をはたしたYonder Mountain String Band
など、ブルーグラスを基盤としたジャム・バンドが、そのシーンを席巻している。わたしが観た
2006年のフェスティヴァルだけでも先の二組に加えて
Keller Williams and the Keels(それとKeller Williams Incidentも)、
Hot Buttered Rum、Bela Fleck and the Flecktones、Mike Gordon and
Ramble Dove・・・そして Railroad Earth がいる。なかには複数回観たバンドもある。このブームは一体、どういった現象なのか?と考えてもみたのだが・・・ジャム・バンド・シーンを支える若い世代の自然環境保護指向とかラヴ&ピースという思想(ベビーブーマーたちがその子世代に与えた思想でもいい)が、彼らのアコースティック・サウンド志向へと結びついた・・・なんていう安易な答えしかみつからず、あるいは彼らが叩き出す
2ビートがトランスなどを好むオーディエンスと結びついて、アコースティック・テクノと受け取っているのか・・・今もって定かではない。ひとつだけいえるのは、
String Cheese Incidentの成功(日本国内でも人気が高いが、本国アメリカでも、そのパフォーマンスからは予測できないほど支持を得ている)が後続者を多く産んだことはたしかなことだろう。
これらのジャム・グラス・バンドのなかには、わたし自身 Bela Fleck
のように半ば崇拝しているアーティストもいるし、わたしのなかでは完結してしまったバンドもある。また、これからもっと観たいと思えるものもある。そんななかで
Railroad Earth は、これからわたしが一生聴きつづけるだろうと予感させるものであった。彼らまだ結成(2006
年の時点で)5年目だというのに、その演奏はとても成熟している。もしかすると未成熟な印象のある「ジャム・バンド」というカテゴリーには入らないのかもしれないが・・・否、ジャム・バンドそのものが急速に成熟してしまったと考えるほうが正しいのかもしれない。ミュージシャンも観客も極上のインプロビゼーションを求めている。その結果がジャム・バンドというカテゴリーの成熟を加速させ、
Railroad Earthというバンドを育て上げたのだ。
本作 the Black Bear Sessions は Railroad Earth の記念すべきデヴュー・アルバムで、アメリカでは2001
年に発表されている。もちろん日本国内盤ははじめてで、ポカポカレコードから彼らの4作目Elkoと同時にリリースされた。
Railroad Earth のメンバーはギターとリード・ヴォーカル、ソングライターのTodd
Sheafferを中心にヴァイオリンの Tim Carbone、アップライト・ベースのDave Von Dollen
、ドラムスの Carey Harmon、ギターとバンジョーの Andy Goessling、マンドリンのJohn Skehan
の6人で、2001年にNew Jerseyで結成された。メンバーのなかではDave Von Dollen
だけがヴォーカルを取らす、残りのメンバーは全員ヴォーカルを担当する。バンド結成当初、Todd
Sheaffer は同じ New Jerseyを拠点に活動するFrom Good Homesにまだ属していた。Railroad Earth
のメンバーは全員顔見知りで、新たにバンドを作ろうとか、何か別のプロジェクトを・・・などという野心を持って集まったわけではなかった。ただセッションをするために楽器を持ち寄り、そのうちにアイディアがあふれ出し、自然発生的に
Railroad Earth として形成されていった・・・と、その前に、From Good Homes のことを少し記しておこう。
From Good Homesは New Jerseyのハイスクール・バンドとしてスタートしている。
Todd Sheaffer、Brady Rymer、Patrick Fitzsimmonsで「Old Crow」というバンド名だったという。その後、「
the Dogs」と改名。Dan MyersとJamie Coan が参加して
From Good Homesとなった。このバンドは4枚のアルバムを発表している。Hick-Pop Comin' at Ya !
(94年)、Open Up the Sky(95年)、From Good Homes(98年)、
Take Enough Home(02年)である。Open Up the SkyとFrom Good Homesは
RCAからリリースしており、この時期には
Grateful Dead の Bob Weir 率いる Ratdog のオープニング・アクトも務めている。
アルバムのリリース年をみていただければお分かりのように本作 the Black Bear
Sessionsより後、Take Enough Home が発表されており、その年(2002年)には Railroad Earth
の2作目Bird in a House がリリースしている。Todd Sheaffer はTake Enough Home
ではthe Giving TreeとHeadの2曲しか提供しておらず、the Black Bear Sessionsでは Head
を含むほとんどが彼の手による作品(Coloradoは Andy GoesslingとTodd の共作、Stillwater
Getaway はAndyとJohn Skehanの共作)であった。ついでに書いておくと、Bird in a Houseは全13曲中、(共作を含む)Todd
の作品は10曲を占めている。これをみると明らかにTodd Sheaffer が Railroad Earth
にその心が傾いていたかがわかるだろう。ちなみにthe Black Bear Seesions
とTake Enough Home は同じBos Music Labelからの発売である。
バンドのオフィシャル・バイオグラフィーによるとTodd
は「はじまりはとてもルーズだった」と話している。「おれたちがようやくオリジナル曲や、このメンバーで取り上げたら面白いだろうと思えるカヴァー曲に取り組み始めたのは、そうやって半年ぐらい過ごした後のことだよ」
オリジナル曲のデモ・テープを作り、それは瞬く間に話題となった。何人かのファンの手にわたりCD
化を望む声がバンドのもとへ届いた。また、もっとも顕著な例は、彼らのマネジャーがいくつかのミュージック・フェスティヴァルの主催者にデモ・テープを送ったところ、
Telluride Bluegrass Festival(Coloradoで1970
年代半ばからはじまった有名なブルーグラス・フェスティヴァル)に出演も決定した。その報告を受けて、バンドは早々に残り
5曲をレコーディング。本作the Black
Bear Sessions を完成させた。レコーディング・クレジットをみると
2001年2月13〜15日と4月23〜26日とある。おそらくは最初の3日間で5曲、
Telluride に出演が決定して(4月後半)から5曲の録音を行ったのだろう。それにしてもわずか7
日間でアルバムを1枚仕上げるというのは・・・アーティストにもよるが、Railroad Earth
の勢いが噴出しているのがわかる。オープニング・ナンバーの Head
からも・・・本作のアルバム・カヴァー汽笛を鳴らし突き進む感じがする。
本作 the Black Bear Sessionsをブルーグラス・アルバムという人がいる。しかしRailroad
Earth のメンバーは「自分たちは生粋のブルーグラス・バンドではない」と話している。ドラムスも多用するし、ストリングスにアンプも通しているから。また彼らは自分たちがジャム・バンドであるということも否定している。「それはバンドよりもファンにとって都合のいいカテゴリー」だと
Tim Carbone は指摘している。だが、マンドリン・プレイヤーの
John Skehan は「その気になれば1 日中だってインプロビゼーションをつづけていられる」とも宣言している。バンドの白熱する「ジャム」は同時発売した彼らのライヴ・アルバム
Elkoを聴いてもらおう。彼らの技術を充分に堪能できるはずだ。
このバンドの身上は「ライヴで演奏する際にはなるべくスタジオ録音盤のアレンジに忠実に守るようにしている」と
John はいう。「ただし、インプロヴァイスするのに最適なスピリットを持った楽曲もある。そういったナンバーは、おれたちが暗黙のうちに飛躍を試みるんだ」。それにしても「スタジオ録音盤のアレンジに忠実」というのは驚かされる。多くのジャム・バンドの場合、ライヴ・パフォーマンス時のインプロビゼーションをどのようにしてレコーディング・スタジオへ持ち帰るかということを課題としているのにたいし、Railroad Earth
の場合はその正反対の行為を試みているのだ。その彼らの行為は、過去のポピュラー・ミュージックのそれと酷似している。
Todd Sheafferは「もっともこだわっているのは楽曲の質」だともいう。「いい曲を起点とするからこそインプロビゼーションも映える」と。
ジャム・バンドのアルバムは完成度が低い。あるいは曲が悪い。だから、アルバム・セールスは伸びない・・・という定評がある。
Dave Matthews Bandを別にすれば。その根底を覆すような Railroad Earth の発言である。彼らの楽曲の良し悪しは本作を聴いた人が判断すればいいこと。ではジャム・バンドでもなく、ブルーグラス・バンドでもない
Railroad Earth とは一体、何なのだ? John Skehan は「アンプリファイドされたドラムス付きストリングス・バンド」と呼び、
Todd Sheaffer は「パワー全開のストリングス・バンド」だという。 Tim Carbone
は自分たちのホームグラウンド New Jersey を意識してこう呼ぶ。
カントリー&イースタン・バンド!
そう、すでに全米ではこのカントリー&イースタン・バンドが、「ジャム・バンド」に替わり、新しいカテゴリーになりつつある。
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